私たちの取り組み

まだ間に合う、介護と老後の暮らし方を家族で話すべき大切な理由

散歩

高齢の家族に介護が必要になったとき、もっと早く本人からいろいろな話を聞いておくべきだったと感じることがあります。

高齢者の今、そしてこれからの生活について、家族は次のようなことを考えなくてはいけません。

  • 自立
  • 生活の継続
  • 心身に残っている力の維持

この3つを考えながら、高齢者の生活を家族だけでフォローし続けるのは難しくなっていきます。

「老い」や「介護」と聞くとネガティブなイメージが強く、自分には関係ないことだと捉えてしまいがちです。しかし人は誰でも年をとり、誰かの手を借りないと生活できない日がきます。

だからこそ話しにくい話題ですが、来るべき日に備えて元気なうちに、家族で・夫婦で・兄弟で、家族が高齢になったときの生活について話しておくべきです。

1. 家族で老後の生活について話すべきである理由

なぜ、話を聞いておいたほうが良いのでしょうか。それは本人の希望と、周りが行うフォローの不一致を、なるべく少なくするためです。

1.1 貴重な情報であるから

「本人がどうしたいか」が一番大切です。
しかし、状況によってはすでに「どうしたいのか分からなくなっている」ことも考えられます。

本心を聞きたいと思っても、頑固だったり、本音をなかなか言えない性格であったり、何らかの理由で時間が必要になるかもしれません。話を聞いた当時とは、体調や家族の状況が変化する可能性があります。

意志疎通ができなくなってしまうと、何でもかんでも周りの人が、代わりに判断しないといけません。結局本人にとって何が正しいこたえであったのか、分からないままになります。

だから聞きづらさ・話しづらさという壁を乗り越え、直接聞いて得た情報は大きな価値があるといえるのです。一定期間でアップデートしていくと、さらに有用な情報になります。

1.2 介護保険サービスを選びやすくなるから

日本では2000年に「介護保険制度」が始まり、少しずつ改正されながらさまざまな介護保険サービスが行われています。

「介護サービス」について調べようとすると、種類の多さや複雑さに驚きます。ひとつひとつの名前はどれも長く、専門用語のオンパレードで困ります。

たくさんの中から自分に合ったサービスを「選択」「契約」するには、費用や環境・介護認定の要介護度など、客観的な判断基準のほかに、本人の希望や主体性に基づいた情報も大切な要素となります。

本人の意志が、サービスを選択する大きな柱になるのです。

ちなみに当サイトがまとめた介護保険サービスの種類をわかりやすく分類したページはこちら

1.3 ケアマネジャーと話すとき参考になるから

介護保険サービスには、たくさんの種類があり、それぞれに特徴や長所・短所があります。たくさんの事業所があり、どこでサービスを受けることができるのか、全てを理解するのは素人である私たちには無理です。

こんなとき相談に応じてくれるのが、ケアマネジャーさん。自分たちでは知り得ない情報をたくさん持っており、頼りになる存在です。

しかし、大切な家族のこと。すべてを他人任せにするのは感心できません。

家族同士で聞き得た「本人が望むこと」という大事な情報と、専門家の知恵を合わせることで、よりよい選択を導くことができます。

2. 何について聞いておくとよいか

必要な情報は家庭によってかわるはずです。参考にしてください。

2.1 自分はどうしたいか

どんな生活をしたいか。どんなことに取り組みたいか。どのように役に立ちたいか。お金があればこうしたい。家族とはこのように関わりたい・・・

2.2 家族にはどうしてもらいたいか

家族のだれに、どんなことをしてもらいたいか。してもらいたくないのはどんなことか。自分に代わって考えてほしいこと、管理してほしいことは何か。準備してほしいこと・知っておいてほしいこと・・・

2.3 施設が行うサービスを利用するか

住まいをどうするか。自宅で介護を受けたいか。知らない人が家に来ることへの抵抗感はあるか。何を不便だと感じているか。何を頼みたくて、何を頼みたくないか。他の利用者やスタッフとの距離感・・・

2.4 お金をどれ位かけられるか

年金収入とのバランス。貯蓄のこと。今後利用したいサービス。妥協できる点はどのあたりか・・・

2.5 今困っていることと、これから不安なこと

通院や習い事の連絡先。連絡を取りたい友人とのこと。その他。

3. 話すとき気を付けたいこと

3.1 話しやすい状況をつくる

何より、高圧的な話し合いだと委縮してしまい本音は語れません。相手を押さえつけ、従わせようとする態度はやめましょう。雰囲気が悪くなり、けんかを招いてしまいます。

自分の体がだんだん弱ってきたり、動かなくなってきたり、そんなときは誰でも悔しく悲しい気持ちになります。相手の気持ちを汲んで話しやすい席を設定しましょう。

夫婦間・家族間で、お互いに対する感謝や尊敬・尊重の気持ちを抱いているとスムーズに運びます。結局は「今後の自分に重大なかかわりある情報」を聞くための機会です。なるべく正確に話を聞けることを優先しましょう。

3.2 どんなことを聞くか考えておく

話題がそれてしまい、聞いたことに対する答えではなく話したいことばかり話してしまう人はいます。話を聞いておかないといけない目的を告げましょう。聞くべきことをメモしておくと、やんわりと話を元に戻すことに役立ちます。

3.3 聞いたことを記録する

せっかく話してくれた貴重なお話です。メモをとっておきましょう。
義理のご両親の場合は、実の親子関係よりも、夫婦間よりも、話しにくいところをがんばって言葉にしてくれたはずです。しっかりと向き合い、態度でこちらの真剣さを伝えましょう。

3.4 聞くことに専念する

話を聞くべきときに、否定や反論をくり返していると相手は気持ちよく話せません。おかしいなと感じてしまうことがあっても、そのまま話を続けてもらいましょう。疑問点はあとから改めて聞き直しましょう。

また、聞いている側が「自分の場合はこうで・・・」などといつの間にか主導権を握り、話題をすりかえてしまう人がいます。相手が、「あなたはどう思う?」とゆだねてきた場合に軽く答える程度にして、聞くことに専念しましょう。

力を入れて語ることは、その人にとって大事なポイントである場合があります。心の中にあることを、そのまま言葉に変えて上手に話す人はあまりいません。関係ない話をしているのかな、と思わせて実は裏側にこんなことが言いたかったのか、と納得してしまうことが隠れているかもしれません。

4. まとめ

いかがでしたか。

家族に介護が必要になったとき、情報が私たちを助けてくれることがあります。

家庭によって介護の形はちがうもの。参考になる貴重な情報は、インターネット上にある膨大な一般論だけではありません。他ならない身近な家族自身しか持っていないものもあります。

それは、早めに家族で共有しておかないといけない大切な情報です。

人生100年とうたわれる現在、元気なご長寿が多い裏側で、介護が必要な期間が長期化しているという現実があります。決して他人事ではありません。

介護保険サービスは、介護する人される人の生活を社会全体で支え・助ける制度です。上手に選択し利用するため日のために、ぜひ家族で話をしてみませんか。

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